クリエイターの企業営業「裏の裏編」


目次

1.裏の世界へようこそ

2.裏の世界探訪

3.裏から表の世界へ


前々回、企業営業には「表」と「裏」がありますね、

とお伝えしました。

「表」が、広告・メディアの世界で、

「裏」が、企業内部の世界です。

「表」は、皆さんが得意なところですので割愛。

「裏」には、組織や営業のドキュメント撮影編集等

がありますよ、というお話しでした。

今回は「裏の裏」編

キーワードは「継承」「SECIモデル」です。



1.裏の世界へようこそ

今回もドットコム企業(今はそんな呼び方しないか?)ではなく

主に伝統的企業を営業ターゲットとして場合の例です。

モノづくりの企業、サービスの企業かは問いません。

では、ちょっとイメージ・トレーニングです。

あなたは、アポを頑張ってとった企業の入り口にいます。

自動ドアの前でひと呼吸して、まずは受付に行きます。

大丈夫。ひとりロールプレイングしたし

準備万端!緊張もそれほどしていない!

受付嬢か、置いてある内線電話で、クライアントを呼び出します。

受付周りの打合せブースか、よく顔を出す企業でしたら

オフィス内の机に案内されることでしょう。

アイスブレイクを済ませ、商談が始まります。

順調に話しが進みます・・・

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さて、ふと、廻りを見渡したあなたは、

「ここが裏か?」「撮影することなんてないよな?」

と思うことでしょう。

今回のタイトルは「裏の裏(うら)」です。

そうです、ここは「裏の表(おもて)」。

つまり、あなたはまだ、企業の「表」にしか

たどり着いていないのです。

前振りが長くなりました。

でも、ここで一つワークをしてみましょうw

ノートを出し書き出してみてください。


問)この企業の商品やサービスが消費者に届くまで

どんな部署・人たちが関わっていますか?

例えば、今会っている人は「営業」です。


・・・メモ・タイム・・・

書き出せましたでしょうか?

例として、

「営業」「開発」「設計」「製造」「工場」

「工事」「アフターサービス」「店舗」「配送」

「マーケティング」「企画」などなど

この部署・方たちがこの企業を構成しています。

次に

書き出した部署・人で会ったことがある人を

〇で囲んでみてください。

囲んでいない人たち、つまり、あなたが会ったことのない人たち

この人たちが「裏の裏」

この企業を支えている屋台骨です。

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2.裏の世界探訪

上記で〇が付かなかった部署・人にも

営業をするチャンスがあります。

営業の人に紹介して頂くのも手です。

え!?何をきっかけに話をすればよいか?

「あちらの部署にもお仕事ないでしょうかねー?」

と聞くだけもありです。

って話が終わったら怒られますねw

では、ほんのちょっと遠回りします。

日本には様々な課題・問題があります。

その中でも重要な課題がご存じ、

少子化にともなう「超高齢社会」です。

これは企業経営にも大きく影響しています。

それは、キーワードで取り上げた「継承」問題です。

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上のグラフは、産業別の継承に問題がある、と答えたものです。

お金系、不動産系以外は、ほぼ継承に問題を抱えています。

では、継承にどんな対策をしているのでしょうか?

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高齢者従業員の再雇用や勤務継続が第一位…

第二位をみてください。

「継承するべき技能の見える化」

テキスト化、マニュアル化、IT化とあります。

IT化って、DX(デジタル・トランスフォーメーション)

を目指すものでしょうが、そんなに簡単にはいきません。

AIを導入したところで、

熟練者の「カン」「キビ」を洗い出し、整理して

チューニングをしなければ使い物にならないのです。

お待たせしました。

撮影隊の皆さんの出番です。

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何をすればよいか?提案すればよいか? って

キーワード通り「承継」です。

ただ撮影すればいいのではなく、

「知識の承継」をするのです。

これをみてください。

第二のキーワード 「SECIモデル」の図です。

SECIモデル

いかにして、知識の伝達をして、さらに進化させるか

というのを示した概念図です。

細かい説明は今回は飛ばします。

勉強されたい方は、下で本を紹介します。

(私の恩師、紺野登先生の恩志、野中郁次郎先生の本)

暗黙知というのは、さきほど出て来た

「技能者のカン、キビ」のことで

言葉で文章で表現しにくいものです。

形式化というのは、文章、マニュアル化など残せるものです。

さて、撮影隊の役割は図の右上「表出化」です。

「技能者のカン、キビ」を引き出し撮影するのです。

簡単に言いましたが、簡単でないことは知っています。

簡単でないからAIにはすぐ置き換えられないのです。

簡単でないから競合が少ないのです。

簡単でないから、高額案件なのです。

次に出番は「編集隊」です。

私が編集隊でしたら、やはり撮影時の<空気感>が

わからないので、撮影隊と同行すると思います。

編集隊は引き継いだデータを

どのようにしたら承継を受ける人に伝わるか

腕の見せどころです。

幸いにして、承継を受ける若い方はデジタル世代です。

文字より動画の方が親しみやすいのです。

アウトプットのフォーマットは、

次の「機材隊」との相談になると思いますが、

タブレットが中心になるでしょうし

編集の仕方も、「表」とは違い

再生される「場面(シチュエーション)」を

想定して行わなくてはなりません。

音がうるさいところかもしれませんし

湯気がでているところかもしれません。

大変お待たせしました。「機材隊」の登場です。

「どのような場面でこの動画をみるのか?」

を想定してみてください。

事務所の中でしょうか?現場でしょうか?

もっと進んで、スマートグラスの中でしょうか?

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上の写真のようにスマートグラスの活用が進んでいます。

VRやARなどの活用方法の事例が

これからたくさん出てくると思います。

ぜひ押さえておかれることを希望します。

(写真出典:BMW、整備工の眼前に図面を表示するスマートグラス–全米のディーラーに導入へ CNET Japan)

3.裏から表の世界へ

「プロフェッショナル 仕事の流儀」

「アナザースカイ」

などの仕事や人に係わる番組をご覧になったことがあるでしょう。

引き込まれますよね。

何故引き込まれるのでしょうか?

私たちが直接知ることのない「裏」の世界だから。

私はそう感じています。

ここまで「裏」の世界を捉え撮影・編集してきました。

案件のメインは「裏」による「裏」のためのものです。

ここで第二加工、第二案件の獲得です。

「裏」用を「表」用に加工するのです。

消費者が知らない「裏」の世界

「プロフェッショナル」「アナザースカイ」のような

出来るまでの物語です。

これをストーリー・マーケティングと呼ぶ人もいます。

ひとつの案件をふたつにして

二度収益を得るチャンスです。

トライしてみる価値はあると思います。

今回の「裏の裏」はいかがでしたでしょうか?

かなり難儀なお題だと思います。

整理すると、


❶商品やサービスには「裏」の「裏」がある

❷企業の根本的な課題を見つけ、そこにカメラを向ける

❸再生される場面を想定して編集する

❹付加価値として新技術(ハード・ソフト)を考える

❺「裏の裏」は物語に再編集できる


でした。

いつかお役に立てることを祈念します。