第7回 マトリックスからのシナリオづくり

こんにちは、CDI杉本です。

前回は、「決定的な不確実な要素」=「分かれ道」に

プロットした予知情報から「軸」出しまでを行いました。

 



今回は、


  • 軸を掛け合わせて2×2のマトリックスをつくる
  • それぞれの事象にネーミングする
  • それぞれの事象で発現するであろうことを書き出す
  • それぞれの事象のシナリオをつくる

を述べます。

・軸を掛け合わせて2×2のマトリックスをつくる

「未来への分かれ道」の軸を4本つくりました。

実際やってみると、何本も軸ができると思います。

それぞれの軸を縦横に掛け合わせてマトリックスにし

4つの事象があり得るかどうか確認してみてください。

4つの未来がそこに見えますでしょうか?

今回は、「住宅購入意識」と「ひとり世帯」の2つの軸を使って

参考につくってみます。

・それぞれの事象にネーミングする

ご覧の通り、4つの事象=4つのあり得る未来ができました。

4つのあり得る未来に「ネーミング」をしてみました。

 

・それぞれの事象で発現するであろうことを書き出す

住宅購入意識は新築住宅×ひとり世帯は伸長する未来を、

「ソリスト」と名付けました。

ネーミングはその世界を象徴するようなもので結構です。

 

・それぞれの事象のシナリオをつくる

ひとり暮らしで新築の家に住みたい人とは、

どのような人で、どのような暮らしをしたいのだろうか?

集めた予兆情報に戻って、それにまつわるトレンドを

もう一度探してみるのもよいでしょう。

ここでは、「ミニマリスト」「平屋」「趣味」と置きました。

 

新築に住むのですから、それなりの収入はありますでしょう。

トレンドとしては、持たない主義ですが、「趣味」を同時に挙げたのは

じぶんの趣味以外は極力持たないという解釈です。

お金を持っているからといって、広い家、二階建ての家まではいらないでしょう。

 

このあり得る世界の住人に対して、どのようにアプローチしていくか

それはまだ置いておいて、もっとこの住人の暮らし、生活を描いてみてください。

プロファイルやペルソナと同じです。

出来ましたら、朝起きて寝るまでの一日や一週間を書き下ろすことをお勧めします。

 

 

同様に残りの3つのあり得る世界のシナリオを考えてみてください。

あり得る世界といっても、今回のマトリックスの左下の事象は

ほぼ現在の住宅市場が現れています。

まあ、今のままでもいけるかな、の世界です。

 

 

4つのあり得る未来のシナリオが描けたら、

「〇年後にこの世界がきたが、わが社はシナリオ・プランニングで

この世界がくることが事前に分かっていた。わが社は

〇〇を準備して、△△を実行し、大成功をおさめた!」

 

というオチで、さて何を準備し、何を実行して大成功をおさめるのだろうか?

あり得る世界4つに対して、全方位準備できること、できないことがあります。

逆に、どの世界にいこうが、共通して準備できることもあるはずです。

それも合わせて現在とのギャップをディスカッションしてみてください。

 

 

肝心なのは、ここから先です。ここまではまだ「絵にかいた餅」だからです。

企画のあなたは、

このシナリオ・プランニングの結果をベースにした実行計画を立て、

社内外の関係者を説得し、共有し、自分事にしてもらってアクションまでもっていかねばなりません。

 

あなたの成功を祈ります!

 

シナリオ・プランニングの章は、これにて一旦終わります。

ご興味がある方は、メール等でお問い合わせくださいませ。

 

 

 

【中原元気プロジェクト】7月のイベント

武蔵村山市中原元気プロジェクトより

7月のイベントのお知らせです。

・7月13日 園芸ワークショップ



・7月21日 手芸教室

詳しくは、添付チラシをご覧ください。

青空フリーマーケット開催のお知らせ【再掲】

武蔵村山市中原で、青空ハンドメイドフリーマーケットを

6月29日(火)、30日(水) 11時~15時

開催いたします。



詳しくは、添付チラシをご覧ください。

ご近所の方はぜひお立ち寄りください。

 

第6回 未来を左右する「分かれ道」

こんにちは、CDI杉本です。

今回は、これまで集めた予兆情報を使い、未来を左右する「分かれ道」を作ります。



まず、下の図をみてください。

縦軸が「潜在的な影響の大きさ」、横軸に「不確実さ」です。

影響の大きさとは、あなたの会社、事業への影響度が、高いか低いかです。

不確実さは、左方向はすでに決まっていること、

右にいけばいくほど不確実ではあるが、あり得るかもしれない未来です。

 

シナリオ・プランニングでは、右上の「決定的な不確実の要素」にプロットされる予兆情報を拾いあげます。

というのも、あり得るかもしれない未来に対して、

「このように対応したから、わが社は成功したのだ!」

と言えるように、準備をしよう!というのが目的だからです。

 

左側の「すでに決められている要素」は余程のことが無い限り

動かしようのない未来、例えば少子高齢化による人口問題や世界的な脱炭素社会への流れなどです。

わかっている、見えている未来なのですから、その影響度が大きいのであれば

今すぐ(もう)手を打っているはずです。

 

中期計画などは短期計画とは違い、その先の「あり得るかもしれない」不確実な未来に対して、どのように準備すべきか、対応するべきか、を考えるのです。

 

例として、住宅業界の予兆情報をプロットしてみました。

赤い字は、すでに決められている要素です。

白い字は、不確実な要素です。

ひとり世帯が増えるかどうか、不確実性は低いですが、

事業への影響は見逃せないので採用することにします。

 

決定的不確実の要素にプロットされた予兆情報を取り出し、

両矢印の軸の名前として付け、

それが、進むのか、進まないのか、増えるのか、増えないのかなどで左右にわけます。

これが、未来を左右する「分かれ道」で、

この分かれ道がきちんと納得できるものかどうかで

この先のワークが決まってしまいます。

 

この不確実の要素の軸を2×2にして4つの事象を作ります。

2×2のマトリックスのやり方は次回にしますが、

ここまで簡単に述べましたが、ワークショップでは

プロットするまでに持ち寄った要素である予兆情報を集約、意味化するために

KJ法を使ったり、たくさんのディスカッションが必要となります。

 

 

できれば、そのディスカッションには社内の人だけでなく、

第三者的な視点で疑問等を投げてくれる人に参加を依頼されると良いと思います。

次回は「マトリックスからのシナリオづくり」です。

 

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第5回 エビデンスって何だよ!!

あなたは会議の時や上司や同僚から言われませんか?

「で、君、その発言のエビデンスは?」

「・・・」



 

エビデンス ・・・ 「根拠」「証拠」

 

マーケティングでいうところのデータ・ドリブン思考です。

データ・ドリブン思考は、確かに確率は高く、大きな失敗はしない

と言われています。

 

ただし、データに基づいた議論ばかりを繰り返していると

今あるビジネスをどうやって伸ばすかという、

殻から抜け出せなくなると言われています。

 

佐宗邦威氏

「4つの思考サイクルの違い」※として紹介しています。

『直感と論理をつなぐ思考法』ダイヤモンド社2019


4つの思考法は2軸からなるマトリックスになっている。

まず縦軸になっているのが「クリエイティビティ」だ。

「カイゼン思考」は一定のKPIを前提としながら、

それをどう高めるかを目的にしていた。

また、「戦略思考」が意図するのは、いかに市場シェアを広げて、

より多くの利益を上げるかである。

つまりどちらも、「既存の基準の範囲内で、パフォーマンスを

高めていく」点では共通している。

端的に言えば、これは知性優位の「1→∞」の世界だ。

他方、これとは対照的に、「デザイン思考」「ビジョン思考」では

感性優位の「0→∞」の創出が目指されていた。

(※筆者一部削除)


 


(中略)

次に横軸に注目しよう。こちらは「動機」をめぐる違いである。

「カイゼン思考」や「デザイン思考」を突き動かしているのは、

外的な問題・課題(イシュ―)だ。PDCAの過程で何か問題が起きれば、

それを評価(Check)し、改善(Action)することが求められるし

デザイン思考が共創型の問題解決フレームワークであることは、

すでに見たとおりだ。


 

このように4つのマトリックスにすると理解しやすいですよね。

ただ、どれが良い、どれが悪い、という話ではなくて

それぞれの仕事のステージ(求められ方)によって使い方が変わってくると

わたくしは思うのですが、冒頭述べましたように

最近は何でも「かんでもエビデンスは?」

これでは、閉塞していくわけです。

 

 

今回、わたくしが経営企画、事業企画或いは商品企画を担当されている

あなたに提言したいのは、

 

未来の“あるべき姿”を描くときは、エビデンスは糞くらえ!!

 

言葉は少々汚くなりましたが、データの上にデータを載せても

複雑で不確実な未来を描くことは出来ないと思うからです。

 

とはいえ、データに基づかない未来、妄想、想像のあるべき姿を述べるのは、

とても厳しいことだと、わたくし自身が身をもって知っています。

何度もくじけました。

 

事例として『ダイナブック構想』のアラン・ケイ氏の話をします。


「未来を予測する最善の方法は、未来を発明することだ」


登場初期のコンピューターは、でっかくて、一部の企業・研究所で使われていました。

コンピューターの使い手、使い道の定義を決めつけていたのでしょう。

その時代に、アラン・ケイ氏は、今でいう持ち歩きできるノートPC、

iPadで子供たちが遊ぶ絵を描いていたのです。

ひとりひとりがコンピューターを持って、遊んだりできる世界

『ダイナブック構想』です。

当時の人たちは、この話を鼻で笑ったことでしょう。

ところがご周知のとおり、今ではこの構想が当たり前の世界になり、

鼻で笑った大きいコンピューター屋さんたちはどうなったか説明するまでもありません。

 

 

話しを戻しまして、

先述の4つの思考法は使いどころ、使い道によって分けた方がよいということ、

それからあなたは、普段はデータを扱っていると思いますが

中期経営計画などを任されたら、どんとエビデンスから離れ、

これまで地道に集めた予兆情報を眺め、その深層的意味を考え、

“あるべき姿”を描くことを望みます。

 

 

次回第6回は、未来を左右する「分かれ道」です。

 

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